下水道コラムvol.4~中継ポンプ場~
中継ポンプ場ってなに?
皆さんの家や工場から排水された下水は下水管を通り、基本的には自然流下で下水処理場に流れ着きます。
【自然流下】とは、
高いところから低いところに水が流れる現象を
利用した方法のことを指すよ!
そこで、疑問が生じます。
自然流下が使えない【山岳地帯(特に谷になっている地域)】や
【下水処理場よりも海抜の低い地域】はどうやって下水処理場に下水を送るのでしょうか?
山の反対側まで下水管を貫通させる?
処理場の地下深くまで下水管を通して無理矢理自然流下を使う?
・・・
・・・・・・
答えは、「中継ポンプ場を設置して、自然流下ができるところまで汚水を汲み上げる」です。
理論的には沈砂池をずーっと地下に作れば、どんなに遠くても下水を自然流下で集めることができますが、
深くなればなるほど下水管を埋めるのは困難になりますし、維持管理をするための費用もその分掛かります。
そして、深い沈砂池から地上まで下水を汲み上げるには巨大なポンプが必要になるため、効率的ではありません。
そこで、海抜が低い地域や山岳地帯の途中に中継ポンプ場を設置して、自然流下の使えるところまで汚水を汲み上げています。
処理場からあまりにも遠すぎる所にも中継ポンプ場が設置されています。
こうすることで下水管設置の費用を抑えたり、その後の維持管理も容易になります。
ちなみに、
下水の量が少ない地域には【マンホールポンプ】と呼ばれる
小さな設備が設置されているよ。
中継ポンプ場の役割
中継ポンプ場は街中にひっそりと建っています。
基本的には無人のため、自動で制御されていて点検の時にしか人の出入りはありません。
近所に立派な建物が建ってるけど、あまり人の気配を感じない・・・
そんな建物があったら中継ポンプ場かもしれませんね。
この設備の役割は、地下深くまで潜ってしまった汚水を地表近くまで汲み上げること。
建物の中には、大抵の場合は汚水ポンプと沈砂池が設置されています。
その地域の平均的な汚水の排出量から必要な大きさの汚水ポンプが設置されています。
汚水ポンプは自動で制御されていて、下水が貯まったら起動して、少なくなったら停止、増えるようなら汚水ポンプを複数台運転・・・のようなことをしています。
そして、汚水ポンプを保護するための沈砂池設備もあります。
完全無人な中継ポンプ場ですが万が一停電になった場合、下水を汲み上げることができなくなってしまい、街中のマンホールから汚水が噴き出してしまいます。
そこで、非常時に備えて中継ポンプ場には大型の発電機も併設されています。
また、設備が故障した場合には下水処理場の中央監視室に故障警報が発報して、異常をすぐに検知して現場に急行できるようになっています。