下水処理場で処理された水は、川や海に放流されます。
適切な処理を行い、自然環境を守ることが、私たちの使命のひとつです。
「処理のできない水が流れてきていない?」「水は本当にきれいになっている?」
様々な観点から、水質の分析を行っています。

水質分析対象

下水処理場では、様々な観点から、水質の分析を行っています。
その一部を紹介します。

「川や海に影響はない?」を確認する
○放流水
○放流先河川水
下水処理場で処理をした水は、川や海に放流します。
 放流先の川や海の環境に、影響がないかを確認するため、放流水や、放流している川の水質検査を行っています。
「処理のできない水が流れてきていない?」を確認する
○流入水
○幹線(下水管)
○事業場排水
 下水処理場は、どんな水でも処理できるわけではありません。
 有害な水がたくさん流れてきたら、下水をきれいにしてくれる微生物は死んでしまいます。
 そのような事態を未然に防ぐために、処理場に流れてくる下水や、工場の排水の監視を目的とした水質検査を行っています。

水質分析項目

処理場から放流される水には、排水基準が定められています。
どのような項目があるのか、一部を紹介します。

生活環境項目

生活環境を保全する 上で維持されることが望ましい基準】※
○ 水素イオン濃度
 水の酸性・アルカリ性の強さ
○ 生物学的酸素要求量
 分解に多くの酸素を必要とする有機物の量
○ 浮遊物質量
 水中に浮遊または懸濁している直径2mm以下の物質

など

健康項目

人の健康を保護する 上で維持されることが望ましい基準】※
○ アルキル水銀
 水俣病などの水銀中毒性疾患の主要な原因物質
○ ヒ素
 毒性が強く、飲み込むと腹痛などを引き起こし、死に至る場合もある
○ フェノール類
 種類が多く、消毒液などに使用されるものもあるが、
 慢性毒性として、神経症状などがみられる

など

※ 環境基本法第16条を参照

分析方法

水質分析の方法や、使用している機器の一部を紹介します。

滴定法 比色法
化学反応を用いて、目的物質の量を測定する定量分析法。
(対象:COD、ヨウ素消費量など)
試料を発色させ、発色度合いから濃度を測定する定量分析法。
測定には吸光度計を用いる。
(対象:シアン、フェノールなど)
還元気化水銀測定装置 ガスクロマトグラフ質量分析装置 誘導結合プラズマ発光分析装置
ガス化させた水銀イオンを、原子吸光法により測定する。
(対象:水銀)
試料をガス化させて、目的の物質を分離。それぞれの物質量を測定する。
(対象:揮発性有機化合物(VOC))
試料を霧状にし、分析対象元素に固有スペクトルを発光させて、その発光強度から試料中の元素の定性と定量を行う。
(対象:銅、鉛などの重金属類)